メッセージ

勇気と行動力で、
次代の地平を切り拓く
名古屋大学総長 松尾 清一

 名古屋大学は「自由闊達」な学風のもと、社会の様々な分野でリーダーとなる多くの人材を世に送り出してきました。21世紀に入ってからノーベル賞を受賞した日本人13名のうち6名が本学関係者であることは、名古屋大学の研究力が世界的に高いことを示しています。

 学問を究めていくうえで、多様性はとても重要なキーワード。性別や国籍、宗教を超え、多彩な研究分野の人たちが融合して初めて、新しい領域を拓くことができます。そのもっとも大きなファクターが男女共同参画です。欧米諸国に比べ、日本はまだ遅れている現状ですが、男女共同参画の大切さがようやく認識され、徐々に取り組みが始まっています。

 そうした状況下、先頭を切っているのが、名古屋大学です。全国の国立大学に先駆けた学童保育の整備、女性研究者の採用枠の拡大・支援、男女共同参画室の教員による全国での啓発活動など、多彩な活動は国内外において高く評価され、2015年には国連女性機関(UN WOMEN)の男女共同参画推進のキャンペーンにおいて、世界の10大学のうちの1つに選ばれました。

 「“ウェルビーイング in アジア”実現のための女性リーダー育成プログラム」は、男女共同参画を推進し、次世代のグローバルリーダーを育成する画期的なプログラムです。アジアを含む世界各国のリーダーをパートナーとして、アジアのウェルビーイングを目指し、国際的な教育研究活動を展開していることが大きな特長といえます。

 「アジアと共に学び、共に発展を」は、我々が掲げるスローガンです。多様性に満ちたアジアをフィールドに様々な課題を乗り越え、ウェルビーイングという大きな目標に向かって、学生たちが切磋琢磨しながら、共に次代の地平を拓いていく。このプログラムでリーダーシップを体得したグローバルリーダーを社会に送り出していけば、社会も変わり、男女共同参画を実現することができるのだと思います。

 少子高齢化等多くの課題を抱える社会を変えていくのは、一人ひとりの勇気と行動力です。名古屋大学は男女共同参画のヘッドクォーターとして、勇気をもって前に進み、貢献できることを心から願っています。

【プロフィール】1976年、名古屋大学医学部卒業、同大学医学研究科博士課程修了、医学博士。
米国マウントサイナイメディカルセンター研究員、米国ニューヨーク州立大学研究員、
労働福祉事業団中部労災病院を経て、2002年、名古屋大学医学部教授。2015年より名古屋大学総長。専門は、腎臓内科学、内科学一般。厚生労働省進行性腎障害研究班長、日本腎臓学会理事長、日本慢性腎臓病(CKD)対策協議会理事長、アジア太平洋腎臓学会評議員などを歴任。
アジアとの架け橋になる女性リーダーを育成
プログラム責任者
名古屋大学理事
副総長
医学系研究科腫瘍病理学・教授
髙橋雅英

 アジア各国はまさに様々な文化的背景をもちつつ、急速な発展段階にあります。
近い将来、知的好奇心と意欲のある若者が数多く育ち、アジアの発展を支える大きなエネルギーになることは間違いありません。

 医学系研究科がこれまで取り組んできたアジア各国における医療支援や健康問題の調査を生かし、アジアの抱える諸問題を深く理解し、パートナーシップを築くことのできる女性リーダーの育成に貢献していきたいと思います。

【プロフィール】1979年 名古屋大学医学部卒業、1983年同大学院医学研究科修了。1983年米国ハーバード大学医学部ダナファーバー癌研究所、Research Fellow。
帰国後、愛知県がんセンター研究所病理学第2部研究員、名古屋大学医学部病理学第二講座助手を経て、1996年名古屋大学医学部教授、2000年名古屋大学大学院医学系研究科教授。
現在は、同研究科研究科長。専門は、実験病理学 (がん関連遺伝子の発がんおよび形態形成における機能の研究)。
しなやかに力強く、
アジアの未来を拓く女性リーダーへ
プログラムコーディネーター
名古屋大学副理事
男女共同参画室長
生命農学研究科・教授 
束村博子

 持続可能な社会の発展に向け、多様な取り組みが必要とされている現代社会において、日本の企業や社会を活気づける鍵となるのは『埋もれた資源』とも呼ばれる“女性”です。有効な女性の活用は、日本の長期成長戦略としても最も重要な課題。アジア各国では女性リーダーが活躍する中、日本ではジェンダーギャップ指数が101位(135カ国中)と極めて遅れており、女性リーダーの育成はもはやわが国の使命です。

 そんな中、女性研究者たちの才能や個性を存分に活かし、アジアにおけるウェルビーイングの実現に向けて動き出したのが、本プログラムです。私たちがテーマに掲げるウェルビーイングとは「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること」。

 アジアに目を向ければ、タイやフィリピンなど日本と同様に生活習慣病が問題になっている国もあれば、カンボジアやミャンマーなど妊産婦や乳児の死亡率が高い国もあるというように、解決すべき課題はまさに多様で、そのために必要な専門的な学問も多岐にわたります。本プログラムでは、食・健康・環境・社会システム・教育をキーワードとして、国際開発学や医学・保健学、農学、教育学といった4研究科連携の教育により、俯瞰力と専門性、強い使命感をもつ女性リーダーを育成し、アジアの持続可能なウェルビーイングの実現を目指します。

 名古屋大学は、これまで男女共同参画推進・女性研究者支援に努めてきました。数多くの女性研究者をハード・ソフト面から支えてきた本学から、アジアの女性リーダー同士のネットワークとパートナーシップを担う女性リーダー、つまりカウンターパートとしての女性リーダーを養成したいというのが私たちの強い願いです。

 学生の皆さん、民族や国籍、宗教、専門領域を超えて女性たちが手を結び、ウェルビーイングな世界を築いていくという輝かしい将来に向けて、ぜひ私たちと走り始めませんか。将来のあるべき姿をビジョニングし、あなたの力が広くアジアの幸福と平和に活かされる、そんな未来を一緒に創っていきましょう。

【プロフィール】1991年、名古屋大学大学院農学研究科博士課程修了後、米カンザス大学医学部博士研究員、名古屋大学農学部助手を経て、98年同大学大学院生命農学研究科准(助)教授、13年同教授。2003年同大学男女共同参画室員。
06年より、同男女共同参画室長・男女共同参画担当総長補佐。15年より同大学副理事。
04年大学共同利用機関法人自然科学研究機構基礎生物学研究所客員助教授(併任)。
農学博士。専門は生殖科学・神経内分泌学。